「巡礼の地、津和野・乙女峠へ
写真家・白井綾さんの教会を巡る旅」
『山口との県境に近い島根県の山あいの町、津和野。山陰の小京都と呼ばれるだけあって、古い白塀と石畳が続き、鯉の泳ぐ水路がぐるりを囲むのどかな観光地。
ここが日本のカトリック信者たちにとって大切な場所であることを、どのくらいの人が知っているだろう。数年にわたり長崎の教会を撮り続けている写真家の白井綾さんは「いつか訪れてみたい」と願っていたという。これは、長崎から興味の羽を広げ、津和野、乙女峠へと降り立った白井さんの小さな旅の記録』
以上 集英社「SPUR 2011年8月号」より
毎年5月3日に津和野で行われる「乙女峠まつり」に出かけました。
津和野の街のカトリック教会から山の上の乙女峠マリア聖堂まで、少女たちがマリア像を担いで行きます。まわりで小さな子供たちが花びらをまいています。その前後には主に西日本各地から集まった2500人もの信者さんが行列を作ります。老若男女の長い行列は、時には聖歌を歌いながら、1時間半程かけて乙女峠マリア聖堂に到着、そこで野外ミサが始まるのです。
江戸から明治に変わっても、キリシタン禁制はそのままでした。
長崎、浦上のキリシタンが捕らえられて全国各地に配流されました。
その一部は津和野に流され、そこで棄教を迫られて、従わないと拷問を受けて殉教した信者もいました。「乙女峠まつり」はその殉教者に捧げられています。
津和野の他に、今まで撮影してきた長崎の教会の写真も、私のコメント付きで紹介しています。