長崎の教会の信徒の多くは、禁教時代に潜伏キリシタンとして密かに信仰を受け継いできた人々を先祖にもっています。そこが、日本のほかの地域の教会の歴史とは、少し違う、長崎の教会の特徴です。
明治の初めに信仰が黙認されると、信仰を守り続けてきた土地に、「祈りの家」の教会堂を建てました。潜伏キリシタンの住む土地は、海のそばや山のなかなど、町から離れていることが多いために、結果として、教会堂は長閑な美しい景色のなかに建てられることになりました。今回の本でも、海や空のブルー、山のグリーンに囲まれる教会堂の写真を掲載しています。
教会堂のなかに入るといつも、新鮮な花の甘い香りに迎えられます。どの教会にも、絶えず季節の花が飾られていて、信徒の方々が「祈りの家」を大切に守ろうとする努力に気づかされます。写真では、花の香りは漂いませんが、清々しい教会堂のなかの空気が伝わればと願っています。
2012年9月21日発売
『長崎の教会』 写真・文 白井綾
平凡社 1900円(税別)
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